アリゾナ教育リーグ研修報告



アリゾナ教育リーグ研修報告について

広島東洋カープ トレーナー部
後藤 将二

今回、アリゾナ教育リーグへ交換留学をさせて頂いた、広島東洋カープのトレーナー、後藤将二です。簡単ではございますが、研修報告をさせていただきます。

 研修場所、「Peoria Sports Complex」では、「アリゾナ教育リーグ(Instruction League)」と「アリゾナフォールリーグ(Fall League)」が行われています。
 2つのリーグは別物で、「アリゾナ教育リーグ」は、マリナーズや他のチームの、若手のみで構成されたチームで戦う、日本で言う「よさこいリーグ」のようなものです。中国のナショナルチームも参加しています。
 「アリゾナフォールリーグ」は、各チームのマイナーリーグ(A、AA、AAA)からの有望株選手が1チームから5〜6人派遣された混合チームで戦うリーグ戦です。各チームのユニフォームを使用しています。ここでは、2つのリーグは区別して、行われています。同チームでも、ロッカーから、ランドリーに至るまで別の場所で行います(フォールリーグに参加選手が、格上)。10/2より開幕いたします。私の所属は、マリナーズの教育リーグです。

 マリナーズのAT Coordinatorで今回の研修での、私の世話役の、Mickeyは、基本的にリハビリ担当で、PT的は動きをしています。あまりグランドに出ることはありません。グランドとはトランシーバーで連絡を取り合っています。私はその補佐を行っています。

 アリゾナの日差しは強く、乾燥していて、夏の沖縄を感じさせますが、夜は涼しく砂漠気候です。トレーナーの出勤時間は5:30amです。


それでは、各項目において、報告させて頂きます。



アイシングについて



 アイスタオルオンリーで、アイスパックの仕様はありません。リハビリ選手はEXの最後に必ず行います。
 固定は、Elastic Bandage(6in x 11yd)で、通常日本で使われているものと同じです。
 固定はトレーナーが行いますが、外すのは選手自身で、Bandageも選手自身が吊して乾かします。タオルは1回で使い捨てです。時間は15〜20分で、これも変わりません。
 尚、Spring Campでは人数が多く、使用頻度も多い為、アイスパック(ビニール袋で使い捨て)を使用します。150個は使うそうです。
 また、Majorの選手は、Spring Campでもアイスタオルを使用します。MinorとMajorの区別があります。



Spring Campについて



 MajorとMinorが、ここPeoria Sports Complexで行われます。
 Majorが1チーム、Minorが8チーム集まって行われます。
 Majorにトレーナーは4人で、Minorに7人付き、ドクターは1人、在中です。
 尚、2週間だけ日本から、学生トレーナーが8人派遣されているそうです。
 選手の数は、Majorに約50人、Minorに約200人です。そのうち減っていくそうですが、莫大な人数でスタートします。
 そのため、ここPeoria Sports Complexには、6つのFieldがあります。



テーピングについて



 通常日本にあるものを使用しています。アンダーラップ、シャーライト(1.5in、3in)、ジョンソンのホワイト、エラスチコンがあります。
 現時点では、アキレス腱炎、足関節捻挫、シンスプリントにテーピングを使用していますが、全固定で行っています。タフスキンはありますが、使用はしていません。アンダーラップを多めに巻き、ずれを防いでいます。
 野手の手首の固定は選手自身で行っています。
 キネシオテープもありましたが、現時点では使用していません。Majorでの使用頻度は高いそうですが(日本人プレイヤー&トレーナーの影響で)、Minorでは、ほとんど使わないそうです。「As the case may be (ケースバイケースで)。」
 エラスチコンをキネシオテープと同じように使用しています。また、アンクルへの使用頻度が高いです。



物理療法について



 アイシング、ホットパック、ワールプール、ジャグジー、プールがあり、治療機器は、DAINATRON950plusを4台使用しています。この機器は1台にUltrasoundとMuscle Stimulatorを装備しています。
 大まかには、関節にUltrasoundを使用し、筋肉にMuscle Stimulatorを使用しています。特に変わった使い方は行っていません。
 これは、MajorもMinorでも同じ機械を使用しています。「治療は、MajorもMinorも同じ事を受けられるようにしている。That’s simple.」



投球制限について



 こちらの投手における投球制限は、かなり、具体化されています。チームにより投球数等、細かい規定に違いがありますが、Majorよりも、Minorの方が厳しく作られています。目的は、投球による障害を防ぐことです。

 具体的には、年齢、プロに入ってからの年数により定められます。

 Minorで、例えば、大学卒1年目の22歳で、

    Starter

  Max Pitches Game Consecutive Game Tatal 2Games
Aでは、100球まで 185球まで
AAでは、125球まで 220球まで
AAAでは、130球までで交代 230球まで


 どのリーグにおいても21歳以下であれば、100球が上限です。
 また、1イニング30球以上の投球を行った場合、5回で交代、もしくは、その時点で交代もあります。
 先発投手としては、当然、長いイニングを投げたいわけですから、投球を抑える為、ボール球を嫌います。初球から、どんどん、真ん中にFastballを投げてきます。ですから、大雑把な野球になってしまい、微密なコントロールは身に付くはずがありません。これではMajorでは通用しません。この辺は投球制限を設けることによる弊害ではないでしょうか。

 調子が良くても、球数を超えると基本的に交代ですが、こちらの先発投手は、だいたい中4日でまわしています。

 中4日の先発投手の調整方法(勿論、選手により違いはありますが、例として)。

 1日目 遠投 150feet(約46m)
 2日目 weightもしくはpitching
 3日目 weightもしくはpitching (2日目か、3日目のどちらかでpitchingを入れます。)
 4日目 調整日

 参考として、ゲーム登板前には、30〜50mの球筋の低い遠投後に、ピッチングを約30球前後、行っています。


     Reliver


 35球以上の投球で、翌日は、ゲーム登板はありません。
 1日20球以上で、2日連続で投球なら、翌日の、ゲーム登板はありません。
 2日連続のトータル球数が、50球以上なら、翌2日間、ゲーム登板はありません。




    Bullpen

 合計3回のWarm upで登板がなければ、当日のゲーム登板はありません。
 上記を2日連続で行えば、翌日のゲーム登板はありません。




 尚、Pitching Count及び、投球制限は、全てPitching Coachの管轄で、Bullpen及び、ゲーム起用は、Manager及びPitching Coachの采配です。Pitching Coachには、これを教育する義務があります。

 障害者以外の投球制限には、基本的に、トレーナーは関与していません。


 当然のことながら、チームの状況により、投げられるピッチャーがいなくなるときもあります。現在は「教育リーグ」のため、投げられるピッチャーがいない時は、試合が中止になっていました。



Chinese National Teamについて

 2004 SEATTLE MARINERS Instructional Leagueでは、9チームが参加していますが、Visitor Teamの、Chinese National Teamを紹介します。


 選手人数  25人  監督 1人(アメリカ人)  コーチ 5人(アメリカ人投手コーチ1人)
 中国全土から収集 結成2ヶ月(いつもメンバーチェンジしている)
 選手平均年齢 24歳  最長年齢 27歳  最少年齢 19歳
 平均身長 174cm  平均体重 70kg


 中国では、野球自体が、あまりメジャーなスポーツでなく、ピンポンや、バトミントン、バレーボールが、メジャーなスポーツだそうです。野球での収入は少ないそうです。
 中国にはプロチームが11〜12あり、天津team、北京teamが、強いそうです。

 中国といえば、鍼灸ですが、鍼、灸、マッサージに関しては、Teamでは、意外と行わず、認知度も低かったです。日本の認知度を教えてあげると、今度試してみると言っていました。帯同トレーナー(1人)は、行わないようです。

 選手に関しては、体格が細身で、身長も高くないです。Power、SAQ(Speed、Agility、Quickness)は低いように思います。
 トレーニングは、体各部のInner EXを中心に行っていました(トレーニングの流行のように感じました)。
 選手たちは、「野球が出来ることが楽しい」と言っていました。また、「それがビジネスに繋がればもっといい」と言っていました。



故障選手の試合出場の、可否の決定について

 故障選手、もしくは、試合中に故障した選手の、試合出場の可否について報告致します。まず、Drの了解があり、トレーナーの了解があれば出場可能です。
 この場合で、選手自身が出場を拒否したならば、出場は行わせません。なぜならば、こちらは、エージェントの力が強いからです。無理矢理出場させれば、監督の下へ、エージェントが連絡を入れます。この辺は、やはり、はっきりしています。しかし、選手自身も出場機会が減るということになります。代わりの選手は他にたくさんいますので、リスクは負うわけです。

 また、試合中の故障(デッドボール、自打球、捻挫等)については、トレーナーの判断で出場の可否は決まります。
 また、選手ともども、判断に迷うときは、選手にこう尋ねるそうです。「Can you play?」 選手はこう答えます。「I can play.」もしくは「I can’t play.」 この問いにより、全て解決するそうです。

 なお、トレーナーの判断に、監督、コーチ、選手等が、異議を唱えることはないそうです。なぜなら、「彼らは、故障の、判断は出来ないから。」「Player Trust Trainer.」 ここには、各役割において、信頼関係と、分業と、協同が存在します。




SEATTLE MARINERS Medical Staffについて


 現在、SEATTLE MARINERSでは以下のような、Medical Staffで動いています。



Dr.(医者)

 Team Dr.を持ち、各遠征都市には、掛かり付けのDr.がいます。Dr.同士は、連絡を取り合い、Teamとして動いています。
 まずは、Head Dr.が診察をし、必要であれば、各専門医に送るシステムです。


Psychologist(心理学者)

 まず、Spring Campで、選手全体にミーティングを行い、説明を行います。
 シーズン中は、個人個人で、電話等で連絡を取り合います。各遠征都市に、1人は待機しています。Minorへは、約月に1度、Psychologistが訪れます。
 相談内容は、「ストライクが入らない」と、いった内容よりも、家庭や家族の相談、若い選手の日常生活でのトラブルや、恋人関係といった内容の方が多いそうです。
 アメリカは人種も様々なことから、「野球に専念できるような環境をつくりあげる」、サポートを目的としているようです。


Nutrition(栄養学)

 まず、Spring Campで、選手全体にミーティングを行い、説明を行います。Psychologistよりは、人数が少ないそうですが、複数人と契約しているそうです。
 主に対象としているのは、「独身の一人暮らし」、「選手の奥さん」です。



 Dr.、Psychologist、NutritionはTeamに帯同していませんが、電話等により、いつでも選手と、連絡を取り合えるようになっています。

 Psychologist、および、Nutritionは、例外は除いて、選手個人で、連絡を取り合うシステムで、トレーナーは関与していないそうです。各選手の情報はMedical Staff内で行き交います。

 Medical Staff内での、分業と協同が出来ています。

 Payment(支払い)はTeamとの契約で、Teamが支払い、選手個人で支払うことは、無いようです。


 Trainerおよび、Strength & Conditioningは、基本的に、Team帯同です。
 
 基本的に、専門分野以外のことは、他の専門Staffに任せています。しかし、Medical Staff内の情報は共有で、プロ意識のもと、それぞれが、分業と協同行い、Teamを支えています。


 アメリカのMedical Staffの特徴としては、MARINERSに限らず、各専門の分野に、人員を置き、分業作業を行うことで、Teamとして、選手を支えています。
 Trainerが、トレーニングについて、意見を挟むことはありませんし、Counselingを行うこともありません。
 ただ、引き継ぎはしっかりとし、共同作業を行うことで、Teamとして、選手を支えています。横のつながりを大事にしています。

 このMedical Staffを束ね、運用しているのが、Head Trainerです。


 こういった、Medical部門の分業は、アメリカのスポーツ分野では常識です。選手も、高校、大学、プロと、このシステムの中で、現在に至っています。違和感はありません。

 これは、「選手の依存度が、トレーナーに少ない」というところから感じたことです。

 リハビリから復帰までの段階で、1人のトレーナーが携わるのではなく、Teamとして、様々な、専門分野のStaffが、協同していくのです。




アリゾナで、予定を変更して、研修させていただきました、Physiotherapy AssociatesとArizona State Universityの報告をさせていただきます。

Physiotherapy Associatesについて

 MARINERSの協力もあり、Physiotherapy Associates(以下Physio)を研修いたしましたので、報告を致します。

 今回、Physioに勤める、Yasunori ”Kwon” Gonda(以下権田さん)に付き、研修させていただきました。Physioは、日本プロ野球選手もオフシーズンに使用しています。
 広島東洋カープでは、野村選手、黒田投手がオフに使用致しました。その他、全米のアスリート(主にBaseball)が使用しています。

 アスリートと、一般のリハビリ対象者が利用していますが、両者の使用場所は区別されています。その辺は、日本のクリニックと違っています。やはり中は広く、ブルペンも存在します。外には、ブルペンと、人工芝の練習場があります。
 一般の利用者も多々いますが、一番の利用価値は、アスリート対応のリハビリプログラムが確立されている所と、アスリートの競技力UPのためのトレーニングも確立されている所です。

 現在Physioのチーム契約は、Anaheim Angelsと行っており、リハビリ対象者は、ここで、リハビリを行います。

 また、主治医のDr.ヨーカムの元へは、全米から、アスリートが訪れます。Dr.ヨーカムの、手術対象者も術前術後、ここでリハビリを行います。


 圧巻は、所長のKeithのManual Therapyです。深部筋へのマッサージと、モビリゼーションを組み合わせたもので、彼独特の、手技です(渡部トレーナーが行っていたものに近いです)。彼の手技と、リハビリプログラムと、競技力UPのトレーニングが、Physioの特徴です。

 所長のKeith、権田さん共々、「どんどん日本からここを訪れてくれ」とのことで、私も、橋渡しの力に成れればと思います。





Arizona State Universityについて

 Physio研修の翌日、Arizona State University(以下ASU)で研修をいたしましたので、報告致します。

 ASUでは、Department Of Intercollegiate Athletics Sports MedicineのKoichi Sato(以下、佐藤さん)に付き、研修いたしました。

 ASUは、全生徒数5万人で、25のスポーツクラブがあり、500人の選手を抱えます。
 ASUの専属トレーナー(ASUと契約、卒業生が多い、佐藤さんも在籍)は、9人で、大学院生アシスタントトレーナーは11人在籍します。大学院生アシスタントトレーナーは、授業料免除で、給料があり、勉強が出来るそうです。この20人で、各クラブを支えていきます。


 ASUの敷地は広く、各競技の競技場は、日本のプロチームが使用する競技場もかないません。
 フットボールの選手は、120名を抱え、競技場は、5万人を収容できます。
 男子バスケットボールの選手は18人で、その内13名は、奨学金を受けています。競技場は、1万2千人収容です。勿論、室内ドーム型です。

 また、各コーチには、個別のオフィスが与えられ、トレーナー室には、ジャグジーは勿論、スイムEX(自動で水流が起きる室内プール)があり、トレーニング室は、120人収容できる、全米でも屈指のトレーニング室です。

 各競技のロッカーには、50型以上のプラズマテレビが、数台設置され、モニターできるようになっています。また、フットボールのコーチは年収1億円を超えます。勿論、車は支給です。

 数え上げればきりがないですが、とにかく、施設の大きさ、充実さ、清潔さに、圧巻です。



 なぜ、このような、大きな競技場や、施設、コーチの給与がでるかというと、大学のスポーツは、Big Moneyを生み出すからです。


 フットボールのテレビ放映権は、1試合4千万円、それに5万人収容できる競技場の入場料、その他グッズ販売等も加わります。
 男子バスケットボールの平均観衆は9千人です。その他、チームごとの寄付金もいれれば、大学全体としては、膨大な収入になります。

 実際に、スポーツ部門の2004年の予算は、33億円です。
 Sports Medical部門の2004年の予算は、昨年より7千万低いそうです。

 ASUの今年のスポンサーは、NIKEで、全種のユニフォームはNIKE製です。昨年はアディダスで、交換時の年末には、大セールを行ったそうです。


 全米の大学スポーツは、試合をすることで、収入を生み、どんどん設備に投資し、良い選手を集め、強いチームを作り、試合に勝利し、もっと観客を集め、また収入を生む、というシステムを作り、利益を生み、運営しています。

 日本の大学スポーツでは、収入を生むということは、行えないことなのでしょうか? しかし、システムを作り、運用していくことで、近い将来、可能かもしれません。

 ASUのSports Supporting Staffは、以下の通りです。

 コーチ            各チームに数人づつ。

 トレーナー         20名の中から各チームに振り分け。

 ストレングス        6名。

 アカデミックサービス   数名。 学業を支える、家庭教師のようなもの。文武両道目指すため。

 イクイップメント      4部署。 ユニフォームや、道具の管理を行う。クリーニングや、遠征の道具の用意も担当。

 メディア           2名。 広報、ウェブサイトの運営等。



 アリゾナには、上に高い建物がありません。車で通っても分かりますが、とにかく、土地が有り余っています。建物も上に伸ばす必要がないのです(横には限りなく伸ばします)。

 それが、分かっていても、ASUの近くを通るたびに抱いていた、「なぜこんなに大きな競技場がたくさん作れるのだろう?」 「何処から予算が?」という疑問が、やっと解決いたしました。

 実際に、中に入って、見て、教わり、感じて、理解しないと分からないことが、アメリカだけでなく、外国には、たくさんあります。勉強になりました。



 以上で、アリゾナ研修の報告を終了いたしますが、広島東洋カープの協力により、Pittsburgh Piratesが教育リーグを行っている、フロリダ州ブラデントンの、パイレーツシティに研修へ行かせて頂きました。

 そこでの、研修報告もこの場を借りてさせて頂きます。

Team Videographerとは

 Piratesにて、お世話になった、百瀬喜与志さん、の仕事、Team Videographerについて報告致します。
 Videographerとは、日本でいうスコアラーに近い仕事です。

 特徴としては、データ収集のほかに、映像もストックして、一緒に引き出せることです。
 それにより、選手や、コーチが、データを引き出して、フォームのチェックや、対戦相手の分析を行います。


 システムとして大きな力を発揮しているのが、「ピネクルシステム」という機材で、これによりデータと、映像をリアルタイムで編集が出来ます。
価格は数千万で、メンテナンスに、年百万程かかります(業者としては、メンテナンス等の問題で、日本への売り込みは、まだ乗り気ではないそうですが)。使用はMajorのみです。

 現在、ピネクルシステムは、他のチーム7球団で、使っているそうです。
 ホームには、専用の部屋があり、アウェイにも小さな機材を持っていって、同様の、データ収集を行っています。
 現在、それを取り入れて4年目ですが、百瀬さんは3年半携わっています。



 簡単に言えば、スコアラーのデータ全てに、映像がついてくるシステムです。
 例えば、2004年の、嶋対左ピッチャー、ランナー2塁、カウントは2ー2での、データが、映像つきで瞬時にでてきます。
 対戦ピッチャー別、ヒット映像のみ等、組み合わせは様々です。


 こういったデータは、実際に、使うか使わないかが重要になってくると思います(特に選手はどう活用できるか)、Piratesでは、コーチ、選手含めて、全員が使っています。


 選手は、データよりも、映像重視で、試合中も、(百瀬さんがデータ最中の横で) 自分のチェックは自分で行っています(検索方法は簡単)。

 例えば、野手で言えば、三振した球の球筋や、ポップフライでの体の開き等です。
 ピッチャーは、ゲーム終了以降に、チェックすることが多いそうです(投球100球以上でのフォームの乱れ等)。

 データ処理のソフトウェアの改良により、データの検索は、年々やりやすくなっているそうです。

 私も試合中トレーナー室にいると、選手から「今の球、入っていた?」 「(フォームが)開いていた?突っ込んでいた?」と聞かれることが多々ありますが、はっきりと見ていないことが多く、答えられません。このシステムは、誰でも、いつでも簡単にデータを取り出せるのが最大の利点だと思います。



施設について

 今回の研修では様々な施設を見学することが出来ました。
 MARINERS、Royals、Physiotherapy、ASU、Piratesの5カ所です。
 施設により、資本により様々でしたが、1つ言えることは、必要最低限の物があるということです。

 必要なものはどこの施設にも必ずあるし、必要のないものは存在していません。当たり前のようで、日本の施設には、若干、必要なものが存在しなかったり、不必要なお金の掛け方をしているところが、あるように思えました。
 勿論、トレーナーの分野だけでなく、練習場、クラブハウス等でも同じです(ASUは、驚きでしたが)。


 日本の施設建設に当たり、根本的な問題としては、日本とアメリカの土地事情と、土地価格の違いがあります。アメリカには、土地が余っており、場所によっては土地価格も低めです。ですから、施設にも十分なスペースが取れます(NYや、LAの施設事情は、分かりませんが)。


 しかし、各分野の意見を統括する、GM(General Manager)の存在が、使いやすく、無駄のない施設作りに生かされているのです。


 GMの存在は、各方面にかなりの影響を持っており、私の質問事項を掘り下げていくと、決定事項の段階で必ず、GMの存在が出てきました (トレーナーの分野に限らず)。私も、何処かで、お会いし話しを聞きたかったのですが、残念ながら機会がありませんでした。



Runningについて

 日本では、Warming Upで、Running、Dashは当たり前ですが、こちらは、ご存知の通り、あまり走りません。特に、Dashの本数が少ないです。Upも20分程です。

 この辺の事情を、Minor League Training Coordinatorのクリス・ダナウェイに聞きました。

 「現在は、Instructional Leagueの最中で、もっと走らせたいが、オフ・シーズンも近いし、走らせない。Dashの代わりに、Sprint系のTrainingはしている。
 また、Director Of Development(選手育成部長、Minorの練習メニューから、全てを統括している。MinorのGM。以下DOD)のブライアン・グラハムから、選手の状態を判断し、毎日、走らせなくてよい、と指示がでている。
 シーズン中は、4〜5月に最も走らせるようにしている。」とのことでした。


 DODは、選手の状態を把握して、練習メニューを各担当から収集し、各担当の了解の元、判断する役目と責任を負っています。ですから、クリスも、DODの言うことに一任です。信頼関係が出来ています。

 また、「試合の勝ち負け、成績によって、Trainingwo,決定することはない。各選手のConditionによって、Trainingを決めるよ。」と、クリスは付け加えています。







 以上で、アメリカでの研修報告を終了いたしますが、3週間という短い滞在で、理解不足のこと、勝手なことのみ申し上げたことをお詫びいたします。しかし、自分の目で見て、感じて、教わり、学んで、理解できたことが、多々ありました。特に、様々なシステムを学べたことが、収穫です。
 そして、今回の研修において、様々な方に協力していただいたことに感謝致します。

 有難うございました。






後藤 将二