
2024.05.31
横浜DeNAベイスターズでファームのメディカルケアを担当している戸谷と申します。
今回は目から考える障害予防と題してお伝え出来ればと思います。
体には感覚器と呼ばれる環境情報を受け取るための器官が備わっています。
その中の1つに視覚と呼ばれる、目が受け取る情報があります。
視覚とは、特定の周波数帯域位の電磁波エネルギー(いわゆる光)をとらえる事と言えます。いわゆる可視光線と呼ばれるものです。
視覚は体が受け取る情報として約7~8割を占めるとも言われ、視覚が優位に働きやすい状態にもなり得ます。視覚が優位に働きやすい状態とは、他の感覚(重力を感じる感覚や、身体を感じる感覚)よりも視覚情報に依存しがちのため、受け取る感覚情報のバランスが崩れてしまう原因にもなり得ます。
視覚から得られる情報は、肌理や質感を感じたり、どういった空間にいるのか、運動するにあたり地面の凹凸や障害物に注意して動くかなどを理解する事が出来ます。
周囲の安全があるかを確認するための器官とも言えます。
そういった目を活用するために、目の動きをトレーニングする事が可能です。
主に5つの動き:固定視・輻輳/開散運動・活動性追従眼球運動・衝動性眼球運動・前庭動眼反射
があります。
この中で3つの動きをご紹介致します。
・輻輳/開散運動:対象物のイメージが両目の中心に来るように両目を反対方向に動かす
・活動性追従眼球運動:動いている対象物のイメージを中心で捉えられる能力
・衝動性眼球運動:新たな対象物に対して素早く中心窩を向ける
目標を追いかけるのが追従性眼球運動、目標から目標に目を移すのが衝動性眼球運動
目を寄せにいくのが輻輳、寄せた状態から目が離れるのが開散
一つの感覚器として目を効果的に使えるようになると、例えば首を必要以上に動かさなくて良くなるかもしれませんし、視野を大きく使える事で注意出来る事も増えるかもしれません。
野球の動作においては投げる’利き腕’があり、’右打ち’、’左打ち’があります。一方向性の運動になりやすいので目の使い方にも偏りが出る可能性はあり、使い方の偏りが強くなると今度は他の感覚にも影響を及ぼしかねないと考えられます。
今回は視覚の情報についてのお話ですが、体性感覚や前庭覚などの情報が統合される事が前提として、姿勢制御や運動制御が行われると考えると身体はとても複雑です。
’身体の問題’を’要素’に分解は出来ないかもしれませんが、捉える視点が変わる事でまた違った見方が得られるかも知れません。