2024.06.11
みなさんこんにちは。
横浜DeNAベイスターズの一軍でメディカルケアを担当している高橋と申します。
私は2009年に横浜DeNAベイスターズに入団し、2020年までメディカル担当のチームトレーナーとして勤務していました。
その後、2021年から2023年まで球団に籍を置きながら、シーズン中はパーソナルトレーナーとしてアメリカに行かせて頂き、オフシーズンは日本に帰国して球団のメディカルケア担当として働いていました。
チームトレーナーとパーソナルトレーナーの両方を経験させていただき、今回はその違いについてお話したいと思います。
チームトレーナーとして働いていると選手だけでなく、監督・コーチ・スタッフなど様々な人と接する事があり、多くの方とコミュニケーションを取る必要があります。
特に監督・コーチとは各選手の身体情報などコミュニケーションが必須になります。また、別部門のスタッフからの情報も治療に役立つこともあるので重要です。
パーソナルトレーナーはチームに所属しているわけでは無いのでチームスタッフとコミュニケーションをとる必要はありません。
しかし、一緒に関わっている方達がチームとして動きやすいように、より密なコミュニケーションが必要になります。
チームトレーナーは主に一軍・ファーム・リハビリと部門が分かれており、自分の役割が明確になっています。
各部門の中でもさらに役割が細分化されており、より専門性が求められます。
主に一軍を担当していましたが、ファームやリハビリといった他部門を担当する機会もあり、そこでの経験は学びの多い時間でもありました。
パーソナルトレーナーは常に選手と1対1であり、日々のコンディショニングからリハビリまで全て1人で行わなくてはいけません。
また、日本と違ってアメリカでは地域によって時差・気温差・高低差などがあり、地域によって環境が大きく異なります。
時差は最大3時間、気温差は住んでいる地域と比べて10℃以上差がある場所もありますし、標高の高い地域で試合をすることもあります。
試合や練習をする地域について事前に調べ、気温が低ければ厚めのインナーや手袋、ネックウォーマーなどを事前に用意することも仕事の一つでした。
チームのように常に必要な備品が準備されているわけではないので、全て1人で考えて準備する必要があります。
また、チームであれば移動手段の手配やホテルの予約、荷物の運搬までマネージャーが対応してくれます。
しかし、パーソナルトレーナーは治療に必要なベッドなど荷物は全て自分で運ばなくてはいけません。
移動は飛行機または車が基本ですが、飛行機は遅延が多く、日本のように時刻表通りにいかない事も多々あります。車の移動では最長で6~8時間移動していた事もあります。
チームトレーナーとして働いているとチームの結果が悪くても、シーズン中の解雇は余程のことがない限り考えにくいと思います。
しかし、パーソナルトレーナーは関わっている選手の成績によってトレードや戦力外・昇格/降格などを一緒に経験します。
「次がある」という考え方は難しく、その日に「結果を出さないと次はない」と感じる場面が多くありました。
私はチームトレーナーとして日本で経験を積み、パーソナルトレーナーとしてアメリカに渡って様々なことを経験させて頂きました。
日本にいる時はその日に結果が出なくても明日、結果を出せるように頑張れば良いという考えでしたが、アメリカで「次はない」という環境を経験し、その日に結果を出すためにできる限りの準備をして今できる精一杯の努力をしないといけないと身に染みて感じました。
日本では普通のことがアメリカでは普通ではないことの連続で食事・言葉の違いによるストレスも多く、トレーナーという本業以外のところでも多くのストレスを感じました。
アメリカでこういった経験をすることで日本で活躍する外国人選手の気持ちを理解することができるようになり、外国人選手に対する接し方も変わってきました。
アメリカで経験した3年間を活かして、今後はチームトレーナーとして優勝の為に出来る限りの努力をしていきたいと考えています。
お付き合い頂きありがとうございました。