2024.06.21
横浜DeNAベイスターズで1軍のメディカルケアを担当している塩崎と申します。
今回は、『骨盤』に関して書いていきたいと思います。
『骨盤』と検索すると「大腿骨と脊柱の間で体を支え、強固に一体化した一群の骨の解剖学的名称」と記載されています。一般には、お尻あたりをイメージする方が多いのではないでしょうか?骨盤には体幹(脊柱/肋骨)・股関節をつなぐ、様々な筋肉が付着しています。そのため、骨盤のバランスは影響を受けやすく、怪我やパフォーマンスに影響すると思われます。
腰椎と骨盤は相互に影響する関係にあり、骨盤の前傾/後傾が腰椎の屈曲/伸展に、逆に腰椎の屈曲/伸展が骨盤の前傾/後傾に影響しています。
▶︎骨盤が前傾位になると腰椎は伸展位
反り腰になりやすく腰部に負担が大きくなる
▶︎骨盤が後傾位になると腰椎は屈曲位
全体的に背面が丸まり、腰背部、肩回りに負担がかかる
骨盤の過度な前傾や後傾の姿勢は腰部にかかる負担が増えるため、怪我のリスクが増加します。骨盤の前傾姿勢は腰痛や肉離れの要因として懸念されがちですが、運動においては前傾と後傾のどちらの姿勢も必要となるため基本は中間位、ニュートラルな位置が理想的とされます。
骨盤の過度な前傾/後傾位になってしまう原因は様々です。
要因の一つとして、筋肉のアンバランスがあります。
体には表裏する筋肉があります。日常的な悪い姿勢や代償動作などによって、筋肉の緊張を生み、緊張している筋肉の方へ骨盤が引っ張られ、骨や関節の位置は影響を受けます。
今回は筋肉のアンバランスを戻す方法として、相反神経支配を使ったストレッチを紹介します。
筋肉には、表の筋肉が縮むと裏の筋肉が緩むという性質があります。
これを相反神経支配と言います。
この性質を利用して筋肉の緊張を抑制することが出来ます。
【骨盤の前後傾に関わる代表的な筋肉】
脊柱起立筋 ⇔ 腹直筋 腸腰筋 ⇔ 大臀筋 大腿直筋 ⇔ ハムストリングス
例えば… 骨盤前傾優位を改善したい場合 腸腰筋(骨盤前面)が過緊張状態の場合 ↓ お尻の穴を閉めるようにお尻に力を入れる(大殿筋(骨盤後面)を収縮させる) お尻に力が入った状態のまま、ゆっくり前方へスライド ※腰が反る場合はお尻の力が抜けている可能性あり ↓ 腸腰筋(骨盤前面)の伸張を感じ、緩んだ状態 腸腰筋が緊張し、骨盤が前に引っ張られて前傾優位だった姿勢が、反対側にある大臀筋を収縮させたことで腸腰筋が緩み、前傾優位が改善される
今回はごく一部を取り上げた、骨盤と腰椎の前後面のみのお話ですが、左右の動きや回旋の動き、胸郭や股関節などを考慮すると、さらに複雑で骨盤のバランスを維持するのはとても難しいです。
まずは、骨盤のバランスが良い状態と悪い状態の差や感覚を選手自身に知ってもらい、自身の状態の変化に気付いてもらうことも傷害予防に役立つと思います。