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DeNA

2023.05.15

ワークライフバランスの考え

横浜DeNAベイスターズHigh Performance Groupの責任者を務め ております桑原です。

前回も横浜DeNAベイスターズ(※以下YDB)の組織について触れる内容を投稿させていただきました。
違った切り口の内容ですので受け入れていただけているかは不安でしたが、オープンにチームの内情を公開することで各球場で色々お問合せいただくこともありましたので改めて投稿してよかったなと思っています。

本日はYDBの「ワークライフバランス」に対する考え方と取り組みに関してお話しさせていただきます。
ワークライフバランス=仕事とプライベートのバランスのことを単に差しますが、野球界では2月のキャンプinに始まり、週6日の興行を基本とし10月まで突っ走ります。
トレーナーにおいてはオフシーズンも休みなし。秋季キャンプ(YDBでは秋季トレーニングという呼称)と12月はリハビリ選手や育成選手の対応、1月も新人合同自主トレと息つく暇もなく、プライベート(自分の時間)そのものがまだまだ尊重されていない現状があります。

NPBでは「プロ野球のトレーナーなのだから、プライベートを犠牲にしハードワークは当たり前」という文化があり、アスリートを支えている「誇り」と「覚悟」を持って仕事と向き合われていると思います。
その姿勢が日本の野球界を陰から支えてきたことは間違いないでしょう。

しかしながらYDBではその価値観から脱却し、プライベートの充実も目指すことを求めています。
トレーナーで言えば、週休2日こそ未だ実現できていませんが、シーズン中週休1.5日をデフォルトとして、月で6日の休みを取れるようなシフトをその担当者にお願いしています。
ご家庭の時間(子育て、外出)に当てるもよし、自身の趣味や学びたい研修に出向くもよしです。
それとは別に冠婚葬祭やライフイベント(子供の入学、卒業式等)での休暇も別途認めています。

なぜこのような運営を目指しているのか、それは大きく2つあります。
まず1つ目は、プライベートの充実=仕事のモチベーションに繋がる という仮説に基づいてです。
YDBのトレーナーは子育て世代が非常に多いです。
「野球界で働いているから」という理由で、家事育児を奥様に任せているでは業務中も気が気ではないでしょう。
ご家族は何より大事な存在ですので、ご家族が幸せで健康であること=自分も幸せであると考えています。それがモチベーションに繋がり、パフォーマンス発揮へと導いてくれるとベイスターズでは信じています。独身のSTAFFも同様です。普段頑張っている自分にご褒美をあげることで尚一層自分の業務に励んでくれると思っています。

そして2つ目、それは単純に業務効率と質のUPです。
時間がありすぎると無駄に時間を費やすものです。時間があることで後回しにしてしまうこともよくあることでしょう。逆に制約があるからこそ工夫も生まれるのではないでしょうか。
決められた休日を後顧の憂いなく迎える為に、その日までにやるべきことをしっかり整理し、周りのメンバーに情報共有を図り、そしてグランドで出し尽くす。
結果、そこにチームワークと生産性、質の高いパフォーマンスが凝縮されると思っています。
(誰かがいない日を意図的に作ることによって、属人的な組織に寄らない狙いもあります)

そう言う私もつい最近まで超仕事人間でした。休みの日も仕事をし、デスクに向かって資料を作成し、アサインされるミーティングには全て参加。そんな時間に追われる自分に酔っていました。
しかし自分が1日に処理できるキャパは限られており、メンバーとのコミュニケーションも減り、気が付いたらただ仕事をこなしているだけの自分がいました。何も楽しくなかったです。
同じように、早朝から深夜まで選手対応に追われるトレーナーの顔を見た時に「夢見て入ってきたはずのプロ野球界はこんな世界だったのだろうか?」とよく考えさせられました。

導入当初はチームが活動している時にトレーナーが休むことについては受け入れてもらえませんでした。むしろ風当たりは非常に強かったです。
ですが、私の前任者がそんな逆風にも負けずやり通してくれたおかげで、今ではそれが当たり前になり理解されています。
もちろんトレーナーだけでなくチーム全体が「幸せ」について考える風潮が後押しになっています。
とは言え、YDBのトレーナーが皆よいワークライフバランスを取れているかはまだ自信がありません。
私が出来ることはその環境をどのように整えられるかだと思うので引き続き挑戦は続きます。

トレーナーと言う職業で休養することがいかに大事かを理解しているし、それを選手に伝えている側なのに、自分たちが休むことを選択しない、出来ない と言うのは不思議なものですよね(笑)

次回はYDBトレーナーの「学び」についての取り組みに関してお話しさせていただきます。
今回もご一読いただきありがとうございました。

※今回の写真は2023春ファーム奄美キャンプの休日で球団のアクティビティとして選手、STAFFでマングローブにカヌー体験に行った際の写真です。
春季キャンプという1か月の長丁場に、せめてものリラックスになればとチームの人材開発担当者が企画してくれました。

投稿者 : DeNA

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