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東京ヤクルトスワローズ

2023.05.07

〜投球障害肩・肘に対する予防エクササイズ〜

東京ヤクルトスワローズ リハビリ担当をしている理学療法士の伊東優多です。

今回、私たちが行なっている投球障害の予防に関するエクササイズなどを紹介していきます。

野球選手、特に投手の肩関節や肘関節に障害が起きやすいことは広く知られており、プロ野球現場でのトレーナーの役割において、投球障害の予防は重要な割合を占めていると考えております。また監督・コーチに関しても、選手の状態や登板頻度によって試合の起用方法を調整することもあり、チームとして投球障害の予防に取り組んでいくことが大切になります。

【肩関節・肘関節の障害について】

肩関節における障害では、インターナルインピンジメントによる腱板関節面側部分断裂(PASTA)、上方関節唇損傷(SLAP損傷)や、肩峰下滑液包炎、Bennet病変、肉離れ(肩甲下筋、広背筋)などがあり、多くは保存療法にて復帰を目指していきますが、難渋する選手は手術に至り長期の離脱を強いられることもあります。

肘関節における障害では、内側側副靭帯損傷、屈曲回内筋群損傷、尺骨神経炎、離断性骨軟骨炎などがあり、また近年では胸郭出口症候群という病態も広く認知されてきた印象です。特に内側側副靱帯損傷においては、損傷している部位や程度によって手術療法を選択し復帰を目指していく選手も多く、プロ野球選手では実戦復帰し受傷前のパフォーマンスに戻る期間を考えると1年半前後を要することが多い印象です。

【投球障害の要因について】

■ 身体機能、構造の問題
■ 投球動作の問題
■ その他(投球負荷、体格) などが挙げられていることが多いです。

スポーツ現場のトレーナーでの役割として、身体機能に関するアプローチを行うことが多く、日々選手の状態を把握していく必要があります。

肩関節および肘関節障害に共通する身体的な特徴の一つとして、肩甲骨の位置異常や肩甲骨の運動異常を有する選手が多く見受けられます。代表的な肩甲骨の問題としてScapula Dyskinesisと呼ばれる概念があります。

Scapula Dyskinesis

□ 肩甲骨の下側や内側が浮き上がってくる
□ 腕を下ろす際にスムーズでない動き

Scapula Dyskinesisを有する選手は障害が起こるリスクも高くなると報告されており、この動作不良に対しては前鋸筋僧帽筋下部の筋機能などが重要と言われています。

【実際に選手に対して行なっているエクササイズ】
私たちが実際に選手に処方している予防エクササイズを前鋸筋・僧帽筋下部の筋機能・複合的な肩甲骨の動きに対するアプローチを紹介します。

前鋸筋に対するエクササイズ

僧帽筋下部繊維に対するエクササイズ

複合的な動作に対するエクササイズ

色々なバリエーションの動きを日々行なっていくことで、選手自身の苦手な動作やパターンがわかってくるので特定の動きだけでなく様々なエクササイズを行なってみると良いと考えています。

今後も継続して障害予防に関する知見、取り組みなどを投稿していきたいと思います。

投稿者 : ヤクルト

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2023.02.01

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