2023.11.18
読売ジャイアンツ トレーナーの阿部です。
今年も猛暑で全国的に記録的な暑さになりましたが、その中で我々読売ジャイアンツが行ってきた暑熱対策を簡単にご紹介したいと思います。
①スポーツ飲料水の摂取
正常な状態から汗で体液(水+ミネラル)が失われると、足がつったり熱中症になりやすくなります。パフォーマンスに直結してしまう為、夏場は積極的にスポーツ飲料水を摂取するよう呼び掛けています。タイミングとしては、練習前から飲むのを推奨しています。理由としては練習開始と同時に大量の汗をかき脱水症状になるのを防ぐためです。飲む量は250~500㎖(ペットボトル半分~1本分)を進めています。ファーム選手に関してはスポーツ飲料水の粉末を提供しており、選手自身がスクイーズボトルを使用して作成しています。深部体温の上昇を抑えるために氷を入れたり、クーラーBOXを用意してなるべく冷たい状態で摂取できるように工夫して水分摂取を行っています。
②プレクーリング(アイススラリー)
プレクーリングとは活動前に深部体温を下げる新しい熱中症対策の事を表しており、スポーツ界で近年積極的に取り入れられています。その代表的なものがアイススラリーです。微細な氷と液体が交じり合った流動性の高い飲料水で、通常の氷よりも身体の内部を効率的に冷やすと言われています。ジャイアンツではベンチ裏やブルペンの冷凍庫に常備してあり、練習前や休憩時に積極的に摂取しています。
③アイスバス
遠征先に簡易アイスバスを設置し、氷と水を入れて使用します。目的としては全身を氷水に入れ深部体温を低下させ効果的に冷やす意味合いで、試合後にリカバリーとして利用しています。但し、あまりにも多くの氷を入れると過冷却の恐れがある為注意が必要です。
④クールリング
28°以下で凍る特殊な液体が入っており、何度でも使用することが出来ます。使用頻度としては、通常練習・試合前練習時に選手。試合中は炎天下の中コーチャーボックスに立つコーチの方々が使用していました。体表温度が低下し冷感を自覚しやすい反面、持続時間が30分~1時間と短時間しか継続しないのが欠点ではありました。
⑤WBGT(暑さ指数)
WBGTとは人間の熱バランスに影響の大きい気温 湿度 輻射熱の3つを取り入れた温度の指標です。
ジャイアンツでは主に熱中症リスクを表す指標として使用し、熱中症危険度を選手に周知していました。
①~⑤まで紹介させて頂いた中で、選手たちから特に好評だったのは②のアイススラリーでした。皆さんも来年の夏、炎天下の中でスポーツをされる際は是非試してみてください。