2025.07.01

「現時点では、高負荷トレーニングで得られる筋力向上よりも(低負荷BFRトレーニングの方は)小さいようである。しかし、低負荷BFRトレーニングは、低負荷トレーニング単独よりも効果的な代替手段であり、高負荷トレーニングの代用として機能する可能性がある。したがって、低負荷BFRトレーニングは、高負荷エクササイズへの復帰過程における漸進的な臨床的リハビリテーションツールとして使用することができる。」
Hughes, Luke, et al. “Blood flow restriction training in clinical musculoskeletal rehabilitation: a systematic review and meta-analysis.” British journal of sports medicine 51.13 (2017): 1003-1011.
はじめまして、横浜DeNAベイスターズでATをしている向原と申します。
昨年までの2シーズンはARに所属、今年は1軍MC兼国際メディカルディレクターの役割を任されています。
このブログでは軟部組織の受傷後のリハビリ中や日頃のエクササイズでも使用しているBlood Flow Restriction (BFR, 血流制限)デバイスについてお伝えいたします。
少しテクニカルな内容ですがご興味が少しでもあれば嬉しいです。
選手の身体を包括的に捉え機能改善や強化をする一方、局所組織の治癒や耐性の改善も同時に行なっていく必要があります。
練習や試合中の動きでは複雑に様々な強度の負荷が体にかかっています。
リハビリ中の選手は復帰に向けて高強度・高スピードの負荷に耐えられるように段階的に進めていかなければいけません。
ただし受傷した組織の構造的な弱さ、神経的な防御反応や抑制、症状、心理的状態、悪化リスク等から早期から高強度の負荷はかけられないのは皆さんもご存知だと思います。
BFRデバイスを使いながらエクササイズをすることで、低強度の負荷でありながら高強度の負荷で得られるような筋力向上、筋肥大、筋横断面積増など生理学的適応を得られると報告されており、受傷後に起こり得るディトレーニングを抑えることにも役立つはずと考えています。
安全が担保されつつ可能な限り早い段階からBFRデバイスを使いエクササイズを処方することで局所組織の治癒や耐性の改善を行なっています。
もちろん現在プレーしている健常な選手にも使用します。
細かなメカニズムについてはこちらに記述はしませんが、血管閉塞による代謝ストレスとトレーニング・エクササイズによる機械的張力が、筋肥大と筋力の相乗的増加につながると考えられており、競技復帰後の再発予防の観点からも患部や循環器系の安全面が担保されていればBFRデバイスは活用すべきと考えます。
現在YDBではVALD社のAir BandsとSMART TOOLS社のSMART Cuffs PROを使用しています。
コードレスとコード付きの違いはあるものの、共通点としては個人の上肢・下肢に最適な圧を測定しエクササイズを開始するところにあります。
アメリカにはOwens Recovery Science社のBFRデバイスもあり、こちらは動作中に加圧/減圧を感度良くデバイスが行なってくれて常に設定圧を維持できるような機能が備わっています。そのため多くのプロスポーツや大学スポーツにて使用されています。
使用時には以下のように設定しています。(*それぞれのプロバイダーのプロトコルに従ってください!)
みなさんも是非BFRデバイスを体験したり、文献を読んでみたりするといいかもしれません!