2025.09.11
プロ野球チームのトレーナーの役割
トレーナーの役割とは
こんにちは。横浜DeNAベイスターズS&Cの星野佑貴です。
プロ野球チームで選手を支えるトレーナーの仕事をしています。
皆さんが目にするのは、グラウンドで輝く選手の姿だと思います。選手ののパフォーマンス発揮の裏側で、私たちトレーナーがどのように選手と向き合っているのかを今回は紹介させてください。
私たちの仕事は、大きく「S&C」「メディカル」「リハビリ」の3つの専門分野に分かれています。それぞれのプロフェッショナルが連携し、チームとして選手を支える、私たちの現場をお伝えします。
S&C(Strength&Conditioning)
「S&C」とは「ストレングス&コンディショニング」の略です。
私たちのミッションは、選手の筋力や体力を科学的根拠に基づいて向上させ、シーズンを通して戦い抜くためのコンディションを整えパフォーマンスを発揮すること。そして、何よりも重要なのが「怪我をしない体づくり」です。
SCの仕事
- 年間を通じたトレーニング計画と指導 シーズンを1年間という大きなスパンで捉え、時期ごとに目的の異なるトレーニングを計画・指導します。
- インシーズン(ペナントレース・ファーム公式戦)
- ポストシーズン
- 秋季トレーニング
- 日々の試合でのパフォーマンスを維持できるように日々のトレーニングを検討します。練習前や試合前は体を動ける状態に、その中でも試合前後でも強化のためにトレーニングを、また遠征先でも少しでもトレーニングできるように環境設定していきます。
- 科学的アプローチによる強化とパフォーマンスの最大化 「もっと速い球を」「もっと飛距離を」などの選手の想いに応えるため、感覚だけでなく、客観的なデータを活用します。R&D部門と連携してハイスピードカメラで投球・打撃フォームを分析したり、GPSデバイスで練習中の走行距離やスプリント回数を測定したり、専用の機器でジャンプ力や筋力を計測したりと、科学の力も駆使して選手の成長を後押しします。
- 栄養指導を含むトータルコンディショニング トレーニング効果を最大化するため、栄養指導も重要な仕事です。試合でエネルギー切れを起こさないための試合前の食事、疲労回復を早めるための試合後の栄養補給、夏場の水分補給やサプリメント摂取のタイミングなども環境設定とアドバイスを栄養グループとトレーナーで協力して行います。
メディカル(MC):選手の体を守る最前線
メディカルチーム(MCと呼ばれています)は、練習中や試合中、選手にアクシデントがあった際にいちはやくかけつけます。主な役割は、怪我の応急処置、状態の評価、そして日々の怪我の予防です。
MCの仕事
- グラウンドでの迅速かつ的確な応急処置 アクシデント発生時に一番最初に対応し、まず選手の安全確保を最優先します。出血があれば止血、関節が不安定であれば固定、頭部への衝撃があれば脳震盪の評価プロトコルに従って状態を確認します。数秒から数分の間に、その場でできる最善の処置を冷静に行います。
- 専門家としての状況判断と伝達 怪我の状態を評価し、「プレーは可能ですが、次のイニングまで様子を見ましょう」「アイシングをしてベンチで待機させます」「すぐに病院での精密検査が必要です」といったように、専門家としての意見を監督やコーチにに判断して伝えます。この判断が、選手のその後のキャリアを左右することもあるため、非常に重い責任を伴います。
- 日々のケアと傷害予防 選手がより良い状態でグラウンドに立てるよう、選手の状態に合わせてケアやエクササイズ指導を行います。
リハビリ(AR):再び輝く舞台へ導くパートナー
残念ながら選手が長期離脱を余儀なくされた時、マンツーマンで競技復帰までを支えるのがリハビリチーム(AR)です。
ARの仕事
- 段階的なリハビリテーション計画の立案 医師の診断に基づき、復帰までの詳細なロードマップを作成します。
- 心身両面でのマンツーマンサポート ベッド上での運動から、グラウンドでのトレーニングまで一歩一歩、段階を踏んでいきます。単にメニューをこなすだけでなく、「今日は少し痛みがあるな」「焦る気持ちが出てきた」といった選手の心と体の声に耳を傾け、時には練習を休み、時には励ましながら、長いリハビリ期間を二人三脚で歩んでいきます。
- 競技復帰に向けた最終調整 最終段階では、ブルペンでの投球数や球種、ベースランニングの強度、シートバッティングへの参加など、実戦復帰に向けた「復帰プログラム」をコーチや他部門トレーナーと連携して作成・管理します。選手の体に過度な負担がかからないよう細心の注意を払い、万全の状態でチームへ合流できるよう、最後まで責任を持ってサポートします。
チーム一丸で選手を支える
私たち3分野のトレーナーは、表舞台に立つことはありませんが、選手のパフォーマンス発揮やチームの勝利と笑顔のために、連携して全力を尽くします。皆さんが選手に送ってくださる声援が、私たちスタッフにとっても大きな力になります。これからもチームへの温かいご声援をどうぞよろしくお願いいたします。