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DeNA

2025.07.20

女性トレーナーとして、プロ野球の現場で働くということ


こんにちは。

横浜DeNAベイスターズで1軍メディカルを担当している塩崎です。

今回のブログでは、私自身の経験を交えながら、女性トレーナーとしてプロ野球の現場でキャリアを積むことについてお話しさせていただこうと思います。

スポーツ業界を目指している方、すでに現場で働いている方にとって、何かヒントになることがあれば嬉しいです。

◆ ベイスターズとの出会いは、大学時代の春季キャンプ

私が初めてベイスターズと関わらせていただいたのは、2015年の春季キャンプでした。

当時は大学でアスレティックトレーナーの資格取得を目指しており、現場実習を重ねていた頃です。

その中で、ある元プロ野球トレーナーの方と出会いました。

「男性社会で他競技との交流も少ないプロ野球界に、新たな風を起こしたい」

そう語る、熱い想いを持った方でした。

その方の働きかけで、プロ野球球団に「女子学生の春季キャンプ受け入れ」をお願いするという、当時としてはかなりハードルの高い取り組みが行われました。

そして、手を差し伸べてくれたのがベイスターズでした。

◆ 初めての現場で感じたこと

私にとってプロ野球の現場はまさに未知の世界でした。

球団や選手、スタッフの方々も、初めて女子学生が現場に入ることに戸惑いがあったと思います。それでも、温かく受け入れてくださり、実習生として貴重な経験をさせていただきました。

翌2016年にも再びキャンプに参加し、その後もスタジアムやファーム施設に足を運ぶなど、大学時代に多くの学びを得ることができました。

◆ 長くスポーツ現場で働くために、選んだ道

大学卒業後はアスレティックトレーナーの資格を取得しましたが、私はこの先の人生を見据えて、鍼灸あん摩マッサージ指圧師の資格取得を目指すことにしました。

理由の一つは、**「女性トレーナーとして、ライフステージの変化をどう乗り越えていくか」**を自分なりに考えた結果でした。

結婚、妊娠、出産、子育て——。

スポーツ現場でフルタイム勤務が難しい時期があったとしても、少しでも現場に近い形で関わり続けられるよう、働き方の選択肢を増やしておきたかったのです。

◆ パート勤務から、フルタイムトレーナーへ

専門学校在学中〜卒業後1年間(コロナ禍を除く)は、他の仕事と並行しながら週2日ほどベイスターズでパート勤務をさせていただいていました。

そして2021年、フルタイムでの勤務がスタート。

今年で4年目になります。

もちろん毎日が順風満帆というわけではありませんが、1〜2年目よりも3〜4年目の方が見える景色も増え、仕事の面白さややりがいを感じられるようになってきました。

◆ プロ野球界における女性トレーナーの現状

現在(2025年7月時点)、日本プロ野球トレーナー協会またはS&C研究会に所属する女性トレーナーは4名です。

 • 横浜DeNAベイスターズ:2名(1軍メディカル/リハビリ)

 • 千葉ロッテマリーンズ:1名(S&C)

 • 福岡ソフトバンクホークス:1名(ファームメディカル)

他球団の女性トレーナーの方々とも交流があり、仲良くさせていただいています。

◆ チーム内の働き方について

ベイスターズでは、以下のような特徴があります。

• 長時間勤務/不規則なスケジュール(遠征・ナイター・移動日など)

• 業務委託契約(個人事業主として)

• チームの女性スタッフは現在、トレーナー2名と栄養士1名

プロ野球という性質上、労働基準法に沿った完全な勤務体制を敷くことは難しい部分もありますが、働き方に関しては比較的柔軟に対応していただいていると感じています。

希望休の相談や、ナイターからデイゲームへの日程変更時の「遅入り」「早上がり」などの配慮もあり、チーム内でお互いにカバーし合える関係性があるからこそ、こうした柔軟さが実現できているのだと思います。

◆ 「女性だから」感じたこと、感じなかったこと

「女性トレーナーのメリット・デメリットは?」と聞かれることがあります。

正直、私は「女性だから」という理由で明確なメリット・デメリットを感じたことはあまりありません。

もちろん、能力的に苦手な作業や、自分の性格的に不得意な業務はあります。

でもそれは、性別ではなく個々の特性の話だと思っています。

気を遣われることに悩む時期もありましたが、時間が解決してくれました。

逆に、もし男性が女性ばかりの現場に一人いたら、きっと女性陣は気を遣うと思うんです。

そう考えれば、特別なことではないのかもしれません。

◆ これからの課題:妊娠・出産・子育てとキャリア

女性トレーナーが少しずつ増えてきている今、次に考えたいのは、妊娠・出産・子育てとキャリアの両立です。

プロ野球は、勝ち負けや個人成績が選手の人生を左右する、結果がすべての非常にシビアな世界です。

でも、**これだけの資金・人材・環境が揃ったプロの世界で新たな働き方が生まれないとしたら、他のスポーツ業界で実現するのはもっと難しいのでは?**とも思っています。

すべての女性が妊娠・出産を望んでいるわけではないし、男性も子育てに積極的に関わりやすい働き方があっていい。

多様な価値観を尊重しながら、一人ひとりに合った選択肢を持てるようにしたい。

そんな思いがあります。

◆ 実現のための工夫と可能性

現場で働く以上、制限があるのは当然のこと。

だからこそ、可能性を広げるために「自分から動くこと」が大切だと思っています。

たとえば…

• 早めの相談・球団との信頼関係づくり

• 1軍帯同ではなく、拠点業務への配置転換

• パートタイム勤務などの柔軟な働き方の提案

• 産休・育休など前例のない制度に向き合う勇気

「チームにとっても、自分にとってもプラスになる形ってどんな働き方なんだろう?」

そんな問いを、これからも色んな方と一緒に考えていけたらと思っています。

◆ おわりに:二兎を追ってみたい

私は「二兎を追うものは二兎を得る」派です。

追ってみないと、得られるかどうかなんて分からない。

人生にとって大切なものが2つあるなら、両方大切にできる方法を探したい。

その気持ちに素直になって、まずは模索してみようと思っています。

たとえ結果的にうまくいかなかったとしても、考えたこと・向き合ったことそのものが、次の行動につながるヒントになるはずです。

個人的な話になりましたが、「現場で働く女性」の一つの視点として読んでいただけたら嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

投稿者 : trainer

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