2023.08.09
前回まで
S&Cチーフの四角です。
前回は我々、横浜DeNAベイスターズがどのように選手のパフォーマンスを評価しているのかと、その評価種目(ディープスクワットとリバースウォールクライム)について紹介させていただきました。
今回は実施している評価種目の一つであるディープスクワットから得た情報を、どのように解釈し活用しているか紹介したいと思います。
進化の過程
前回までの投稿でも述べましたが、地球上の生物には一定の重力が平等にかかっており、常に3軸(矢状面、前額面、水平面)を制御しながらその時々の環境に適した動作(意とするパフォーマンス)を選択しています。生き物の進化をよく見ていくと、単に形態が変わっていくだけではなく、動作(制御可能な軸)も変化していくのがわかります。
この図を俯瞰してみると改めて全ての動作の基礎となるのは矢状面の安定制御です。この制御を高めることが生物にとっても、アスリートにとっても、進化の上で重要であるということがわかるかと思います。
評価について
評価の目的は矢状面の安定制御を獲得できているかどうか判断することです。判断基準はいたってシンプルで、下記評価基準をクリアした上で、自重でスクワットのボトムポジションまでしゃがみ込むことができるかどうかをみています。
【評価基準】
①矢状面において頭部/体幹の軸が直線か?
②矢状面において、動作中(ボトム姿勢含む)の脊柱/下腿の軸が平行か?
③前額面において重心位置が左右にシフトしていないか?
④足部と股関節を結んだライン上に膝があるか?
⑤下肢三関節の屈曲/伸展が同時に起きているか?
⑥代償動作が無いか?
各S&Cが提供する個別トレーニングプログラムはこの矢状面安定制御を向上させることがベースに組まれていますので、仮に選手の評価内容が悪くなった場合は制御が崩れているとみなし、プログラムの修正を行ないます。
最後に
これまでの投稿ではYDBにおけるパフォーマンスの捉え方や評価方法について紹介させていただきました。
私はサポートスタッフが多いのがプロ野球チームの特徴だと思います。選手対応も昔と比べ個別化の一途にあり、よりよりパフォーマンスに導くためには今後も多くのスタッフが必要とされていくものと考えます。しかし、多様な視点が増えることで問題となるのが考え方の不一致です。
今回紹介したパフォーマンスの捉え方のように、一気通貫した考え方は今後チーム内で必要と感じています。YDBであれば、『矢状面の安定制御を高めること』が条件です。その条件さえ満たせられるなら各S&Cが個性・強みを活かしどのようなアプローチしてもOKと考えています。皆さんのチームはいかがでしょうか?
次回はYDBにおける、『遠征時に良いコンディションを保つ取り組み』について紹介いたします。