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DeNA

2024.03.16

ワークロードと疲労のモニタリング

横浜DeNAベイスターズトレーナーの木戸陽介です。今回はYDBで実施しているワークロードモニタリングについてご紹介させて頂きます。

プロ野球って年間180試合!?

NPBではプレシーズンからポストシーズンまですべての試合数を合計すると約180試合というとてつもない試合数を1年間の間に行います。野球選手は試合と練習の中で投げる・打つ・守る・走るという動作を何万回と行う事になります。毎日この動作を行っていくために選手は身体にかかってくる負荷と疲労と向き合い続けなくてはいけません。

ワークロードモニタリングって何?

毎日野球の動作を繰り返し行う事で身体には”負荷”がかかります。トレーニングの原理原則で身体に負荷をかける事で身体はその負荷に対して適応しようとします。適切な負荷を身体にかける事で身体は強く、大きくなります。しかし負荷が身体の許容を大きく超えると怪我につながる事があります。なので身体にかかるこの負荷をモニタリングしていくことで障害を防ごうというのがワークロードモニタリングになります。

負荷の種類

身体にかかる負荷には2つの種類があります。外的運動負荷と内的運動負荷です。ワークロードモニタリングではこの2種類の負荷を定期的に観察していきます。

外的運動負荷:

各選手の運動量とそれに付随する運動負荷で定量的に表せる数値 (例:GPSでの総移動距離, ACWR)

内的運動負荷:

身体内で起こる変化 (例:RPE, 心拍変動)

ベイスターズでは外的運動負荷を1) ランニングのボリューム、2) 練習量 (分)、3) 投球数、4) 試合参加イニングなどから算出しております。内的運動負荷は外的運動負荷の高い選手に対してRPEや主観的な疲労度の聞き取りを行っております。

ワークロードモニタリングの利用

ワークロードモニタリングで我々が大事にしている考えは”ワークロードは高すぎても、低すぎても怪我のリスクとなる”という事です。前述したように身体に適切にかけられた負荷は身体を強く・大きくしてくれます、SCとしてこの段階的なワークロードの積み上げというのがとても大事になってきます。

ワークロードモニタリングにて言われる一番の怪我のリスクは急激なワークロードの増加が挙げられます。この急激なワークロードの増加を防ぐ事が最大の目的といえます。なので結果としてワークロードが低く出ている選手に対しては適切に身体に負荷をかけてあげる事で急激なワークロードの増加を防ぐ事ができます。

疲労のモニタリング

運動負荷量の定量化と一緒に行う事で相性が良いのが疲労のモニタリングになります。身体は負荷を受けるとその負荷に対して反応を示します。負荷を受けた身体がどのように反応しているか?インプット – プロセス – アウトプットのインプット (負荷量)によりアウトプットを一緒に見て行くと選手の疲労を可視化する事ができます。アウトプットの測定として良く現場で使われるのがCMJ (カウンタームーブメントジャンプ)になります。このCMJを床反力計の上で行い出てくる数値 ( Jump Height, RSImodなど)を定期的に追って行く事で選手のアウトプットがどのように変動しているかを可視化することができ、ワークロードのデータと照らし合わせることで選手が疲労している事でアウトプットが変動しているのか、負荷不足 (トレーニング不足)でアウトプットが変動しているのか仮説を立てる事ができます。

ワークロードモニタリングの今後

現状はテクノロジーの発展と共にウェアラブルを使って外的運動負荷量と内的運動負荷量が簡単に見れる時代になってきました。テクノロジーの発展にしっかりと我々がついて行くために情報のアップデートがかかせない時代になって行きそうですね!

投稿者 : trainer

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